企画展「菊舎 ふるさと編」出品資料紹介です。
照らしてよ末の世かけて盆の月
菊舎が、弟の田上由規が眠る大坂の大鏡寺へ、盆供養の書画を寄進した際に詠んだ句です。由規は、長府藩大坂蔵屋敷で勤務中に自害して、大鏡寺へ葬られました。自害の理由はよく分かっていません。
由規が自害したのは寛政12年5月ですが、その後しばらく菊舎の作品は極端に少なくなっており、弟の死に大きなショックを受けていたことがうかがえます。
また、この作品とセットでご覧いただきたいのが、出品番号4の作品です。
うけて習えいかなる鞭の柳をも
74歳の菊舎が、藩の命令を受けて江戸へ向かう甥に贈った餞別の句です。初めての公務での江戸行となる首途を祝うとともに、不慮の死を遂げた弟の悲劇を繰り返さないでほしいとの切なる願いが込められた作品です。
いずれも親族への菊舎の想いが込められた作品です。ぜひご覧ください。
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