開催中の特別展「攘夷と海峡」より、注目資料をご紹介します。
今回は「第三次攘夷戦図 ド・ハート筆」です。
文久3年(1863)5月26日、長州藩は下関海峡を航行するオランダ軍艦メデューサ号を襲撃。5月10日のアメリカ商船、23日のフランス軍艦への攻撃に次ぐ、3回目の打ち払いでした。
こちらは、メデューサ号と長州藩の交戦の様子を描いた絵画で、同艦に乗船していた副官のド・ハートが描き、同船していたオランダ総領事に贈ったものです。
メデューサ号の航海記によれば、同艦は横浜へ向かうため、5月24日に長崎を出発。出航直後にフランス軍艦キャンシャン号と出会い、下関海峡で攻撃を受けたことを知らされましたが、総領事らはオランダが日本と長きにわたり友好関係にあることなどを理由に、航路の変更を行わず、5月26日に海峡に進入したメデューサ号は、長州側の砲火に晒されることとなります。同艦は、約1時間半をかけて海峡を突破。船体には17カ所以上の損傷を受け、4名の死者を出しました。
長年友好関係を築いてきたオランダ人をも脅かした長州藩の攘夷実行は、欧米諸国にとって、日本における攘夷思想の高まりを痛感させました。このことは翌年、オランダを含む欧米列強が下関攻撃を決定する要因のひとつとなっていきます。
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