開催中の企画展「下関名所選」より、注目資料をご紹介します。
今回は「西国名所之内廿二 長府の沖」です。
「西国名所之内」は、幕末~明治期に活動した歌川貞秀が西日本の名所25ヶ所を描いた作品です。現在の下関市域では、中之町の亀山八幡宮、海峡に位置する与治兵衛ヶ瀬と巌流島、そして長府の沖が題材に選ばれています。
今回紹介するのはこのうち長府の沖を描いた作品。手前に長府から壇ノ浦方面へ向かう船が描かれ、遠くには巌流島や対岸の豊前国も見えます。
画面の中で大きく描かれているのが、満珠・干珠の島です。長府沖に浮かぶ無人島で、現在では島の原生林が天然記念物に指定されています。
両島には、神功皇后が龍神から授けられた二つの玉から生まれたという伝説が残り、古くから海峡の景勝地のひとつとして知られていました。元暦2年(1185)、源氏と平氏が激突した壇ノ浦の合戦が起こった際には、両島付近に源氏軍が陣し、戦いの後には合戦の旧跡としても有名になっています。近代にも長府の名所絵はがきや観光パンフレットに掲載されることが多く、時代を通じて長府の名所のひとつとして親しまれてきました。
なお、2つの島のどちらが満珠でどちらが干珠なのかには諸説があります。現在、上陸は禁じられている両島ですが、長府を訪れた際には、ぜひ海に浮かぶ美しい姿を眺めてみてください。
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