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毛利元就の和歌修行

2022-09-03 (Sat) 13:38
今回は、現在開催中の特別展「歌を詠む武士」から、戦国大名毛利元就と和歌に関するエピソードをご紹介します。
 
戦国時代に毛利家の当主となった元就は、安芸国の小領主だった毛利家を、西国を代表する大名に飛躍させました。
 
元就が武略に長けていたことは、当時から有名だったようですが、没後に和歌の道でも名声を博することになります。
 
元就が亡くなると、元就に近しい人々は、元就が遺した和歌を都に送りました。
 
都では、当時文化人として名高かった三条西実澄や里村紹巴、聖護院道澄らの尽力によって元就の歌集が編まれています。
 
毛利元就歌集
                  毛利元就の歌集

実澄は、この歌集に寄せた文章で、「元就の武功が知られる一方で、和歌などの志が深いことが知られていないことを残念に思う」と述べ、元就を称えました。
 
この称賛には、依頼主である毛利家への配慮もあるでしょうから、鵜吞みにすることはできないかもしれません。
 
ただし、元就の和歌は、現代の国文学の研究者の間でも一定の評価を得ていることから、歌人としての元就の力量は確かなものだったようです。
 
しかしながら、元就は、最初から和歌を得意としていたわけではありません。
 
江戸時代に下関を治めた長府毛利家の遺品には、元就が古の和歌を書き写したものが含まれており、元就が歌道修行に励んでいたことが明らかになっています。
 
元就は、いざという時困らないように、必死に和歌の書き取りを行うとともに、和歌に優れた人物を登用して側近とし、歌を詠み交わすなど、日々力量の向上に努めていました。
 
元就は、優れた歌人を輩出した大江氏の末裔であることをアピールしていましたから、下手な和歌を詠むわけにはいかなかったのかもしれません。
 
先に述べたように、歌人元就の名声は没後に高まっていくことになります。
 
江戸時代に出版された本のなかには、元就を歌人として紹介したものもあるほどです。
 
きっと、元就はあの世で胸を撫で下ろしたことでしょう。
 
特別展では、元就の歌集などを展示し、元就を含めた毛利家の人々と和歌との関係をご紹介しています。
 
この機会に、ぜひ特別展をご観覧ください。
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企画展「サムライの装い―下関ゆかりの武具―」9

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企画展「サムライの装い―下関ゆかりの武具―」8

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