皆さん、こんにちは!
会期も残り少なくなってきましたが、現在開催中の特別展「天下人との邂逅ー海峡の戦国史 第3章ー」のおすすめ資料を紹介する記事の第7弾をお届けします。
今回ご紹介するのは、戦国時代の武将宇喜多能家の画像で、重要文化財に指定されている岡山県立博物館の所蔵品です(前期には複製品を展示していましたが、現在は原本を展示しています)。
宇喜多氏は、備前国の守護代を務めた浦上氏に仕えていた有力な領主で、戦国時代に毛利氏や織田氏と結んで勢力を大きく広げた宇喜多直家や、その子どもで豊臣秀吉のもとで取り立てられ、五大老となった宇喜多秀家が有名です。
実は宇喜多氏には謎が多く、この能家についても、直家の祖父とする説のほか、父とする説などもあり、その位置付けは確定していません。
また、この画像には禅僧によって賛文が記されています。
賛文には宇喜多氏のルーツに関する記述があるのですが、それによれば宇喜多氏は朝鮮の百済(くだら)の王族の血を引いているといいます。
賛文の記述がどの程度事実を反映したものであるのかについては、今後の研究を期待したいところですが、14世紀半ば~16世紀半ばにかけて下関を治めた大内氏と同じく、朝鮮を自らのルーツとして主張している点が興味深いところです。
なお、この賛文は大永4年(1524)に書かれており、今年は賛文が書かれてからちょうど500年にあたります。
山口県で展示される機会はなかなかありませんので、この機会にぜひ博物館で実物をご覧ください。