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古代の旅

2023-06-04 (Sun) 10:02
今回から、現在開催中の企画展に関連して、旅の歴史や下関の名所旧跡・名産品などについて、簡単にご紹介していきたいと思います。
 
第1回目は、古代の旅についてご紹介します。
 
古代の旅は、貴族の場合は勤務地への赴任や都への帰還、庶民の場合は年貢の輸送など、公的な事情に基づくものがほとんどでした。古代国家は交通路の整備を行っていますが、整った道を使うことができるのは、こうした公的な旅の場合に限定されています。
 
また、旅の行程は、現代とは比較にならないほど過酷なものだったようです。

古代の旅の様子を伝えるものに、紀貫之(きのつらゆき)の『土佐日記(とさにっき)』や菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)の『更級日記(さらしなにっき)』があります。『土佐日記』には、土佐国(現在の高知県)から都への帰路の船旅の模様が記されていますが、海賊や風・波への恐れが散見します。また、『更級日記』には、上総国(現在の千葉県)から都への帰路の模様が記されていますが、大雨や雪、月のない暗い夜への恐れが見て取れます。どちらについても、旅の珍しさや楽しさについての記述はほとんどなく、旅の恐ろしさと難儀さが強く印象に残ったことがわかるのです。
 
公的な施設や道路を使用することができ、比較的好条件のもとで旅した貴族でさえ、旅を恐ろしく、厳しいものであると考えていることから、庶民の旅はより困難なものであったと推測されます。
 
各地に宿場ができるのは、鎌倉時代以降のことで、古代に庶民が旅する場合、宿泊場所はなく、食糧などは自分で用意する必要がありました。
 
このほか、病気や怪我の危険があったことに加え、国家の地方支配が揺らいでくると、海賊や山賊が横行するようになります。
 
人々が旅行を楽しむことができるようになるには、まだまだ時間が必要だったのです。
 
ちなみに、古代に整備された道路は、都に近い一番整備された場所でさえ、2メートル程度だったといわれています。
 
なお、企画展の最初の展示ケースの横幅は、約2メートルです。
 
ぜひ、歴史博物館で古代の道路の道幅を、体感してみてください。
 
 

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