企画展「毛利元敏―趣味と郷土を愛した最後の殿様―」出品資料紹介です。
こちらは、明治33年11月13日、毛利元敏が、旧長府藩士の三澤精七と栢俊雄を自邸に招いて振舞った洋食の献立です。エビフライやカレーの他、プリンやカステラといったデザートも用意されています。羹汁はスープ、花椰菜はカリフラワー、甘藍はキャベツ、鳳梨はパイナップルです。焼牛肉は、添えられているあしらいを踏まえると、牛肉に溶き卵を絡めて焼いたピカタかもしれません。
元敏は、旧長府藩士の他にも、家族や自邸の使用人など身近な人々にしばしば洋食を振舞ったといいます。あるとき大量のビフテキを作って自邸の者全員で食べようとしたら肉が固すぎで食べられなかったというエピソードも遺っています。
旧藩主と旧藩士や領民という関係に縛られることを嫌い、分け隔てなく身近な人々との交流を楽しんだその姿から、元敏は「平民的の殿様」と評されました。