特別展「攘夷と海峡」より、注目資料を紹介します。
今回は、「イラストレイテッドロンドンニュース」です。
イラストレイテッドロンドンニュースは、1842年に創刊されたイギリスの週刊新聞で、世界で初めて、イラストを中心に紙面を構成したことで知られます。当時ロンドンだけでも約80社あった新聞社のなかで急速に販売部数を伸ばし、1863年には週に31万部を売り上げました。
黒船来航事件が起こった1853年からは、日本に関するニュースも多く掲載されるようになり、日本と欧米諸国との通商等を巡る交渉や、各地の風景、そして戦いについてなど、様々な情報が報じられました。
今回展示している資料は、下関戦争開戦2日目の1864年9月6日(元治元年8月6日)、イギリス軍が前田台場を占拠した様子を報じたものです。イラストの作者は、同紙の特派画家としてイラストを多く手掛け、下関戦争にも従軍した画家のワーグマンで、前回の記事で紹介した、従軍写真家ベアト撮影の写真が基となっています。
同紙には、この前後にも、連合艦隊による砲撃や、陸上戦の様子など、戦争の様子が数多く報じてられており、外国側の視点で戦争の様子を知ることができる貴重な資料となっています。