特別展「攘夷と海峡」より、注目資料を紹介します。
今回は、占拠された前田低台場・高台場写真です。
<占拠された前田低台場写真>
<占拠された前田高台場写真>
前田台場は、文久3年(1863)の攘夷戦の際、下関海峡沿岸に築造された台場のひとつです。同年のフランス軍艦による報復攻撃によって破壊されましたが、下関戦争時には高台場を増築して二段構えとなっていました。
長府藩の記録によると、下関戦争時には、同地に上下あわせて14門の大砲が設置されていたといいます。守備兵には、総督赤根武人以下奇兵隊士らが配置され、戦いに臨みました。しかし、連合艦隊の猛攻を前に、長州藩側の台場は次々と陥落。前田台場もまた、開戦2日目には占拠されることとなります。
本資料は、下関戦争に従軍したイギリスの写真家ベアトが、連合艦隊に占拠される前田台場の様子を写したものです。大砲の周囲に艦隊の兵士らが立ち、イギリスの国旗を掲げた兵士の姿も見えます(低台場写真)。この後、連合艦隊は各台場から大砲を接収。これらは各国に分配され、本国に持ち帰られました。
下関戦争の激戦地のひとつとなった前田台場は、現在国の史跡に指定され、見学することができます。展示とあわせてぜひ足を運んでみてください。