明治34年2月16日、慎蔵危篤の報せを受けた毛利元敏は、深夜にもかかわらず、慎蔵のもとに駆け付けました。慎蔵が息を引き取ったのは、それから間もない午前1時30分のこと。享年71歳(満70歳)でした。
葬儀は、2月21日に功山寺で執り行われ、その際、元敏は「おもひ草」と題した告別の辞を捧げました。
今の世を極楽、昔(江戸時代)を地獄とし、慎蔵の苦労と忠勤を称えるとともに、慎蔵を失った元敏の哀惜の念が綴られています。
思い草は、万葉集にも登場するナンバンギセル(南蛮煙管)と推定される植物です。元敏は、うな垂れる自らの姿を、思い草に重ねたのでしょう。