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タイムスリップ!―絵図・地図に描かれた昔日の下関 資料紹介3

2023-05-16 (Tue) 11:45
開催中の企画展「タイムスリップ!―絵図・地図に描かれた昔日の下関」より注目資料をご紹介します。今回は下関戦争に関する絵図です。
 
下関戦争とは、元治元年(1864)8月、下関海峡(関門海峡)で、イギリス・フランス・オランダ・アメリカの連合艦隊と、長州藩が衝突した戦いです。
長州藩は沿岸から砲撃して連合国軍に立ち向かいましたが、連合国の圧倒的な兵力を前に台場は陥落。陸上戦でも苦戦を強いられ、数日のうちに休戦・講和を申し入れました。

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こちらは、下関戦争の様子を描いた「馬関戦争図」。作者は、長府藩の藤島常興です。
実物は幅が4mほどもある大作で、展示室で見ると大変迫力があります。
 
こちらの図では、画面左から右に向かい、イギリス・フランス・オランダ・アメリカ連合艦隊の登場、砲撃戦、陸上戦と、時間の経過と戦況の変化を表しています。
 
下関戦争に通訳として従軍したアーネスト・サトウは、下関の前田台場について、次のように記録しています。
「前田村の海岸へ行って見ると、そこには巧妙に造られた砲台があった。海に面して石で畳んだ幅二十フィートの胸壁があり、防弾壁で砲台を四つに区切り、その間に大砲が三々五々据えつけてあった」

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馬関戦争図でも、胸壁や防弾壁が設置された長州藩側の台場の様子や、甲冑姿で戦う兵たちなど細かく描写されていて、当時の戦いの様子を感じることができます。

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一方、こちらは下関戦争を報じた瓦版。
幕末に起こった下関戦争を、鎌倉時代の弘安4年(1281)に起こった蒙古襲来になぞらえて描いています。
この瓦版では、上陸した蒙古軍が地雷火によって大きな被害を受ける様子や、長州藩の砲撃によって蒙古軍の船が沈没している様子が描かれており、長州藩が蒙古軍(連合国軍)を撃退したと、事実とは異なる状況が報知されています。
 
瓦版は、江戸時代に庶民に事件や災害を報せた印刷物でしたが、現代ほど情報は正確でなく、時に誤った情報が記されることがありました。
下関戦争を報じた瓦版にも、このような間違いがよく見られます。外国との戦争という大事件の勃発により、人々の間で真偽が定かでない様々な噂が流れた様子をうかがうことができます。
 
この他、測量図や外国製週刊誌など、様々な観点から幕末の下関を描いた絵図を展示しています。ぜひ展示室でご覧ください。

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