こちらは、「唐物茶壺 銘 玉蟲」。慶長3年(1598)6月、慶長の役から帰国した毛利秀元が、豊臣秀吉から拝領したものです。
茶壺は、元々葉茶を保存するために用いられましたが、茶の湯の流行にともない、観賞用として高い価値が見出されました。
「玉蟲」は、日明貿易で中国からもたらされると、釉薬のムラからなる胴の景色などから、日本で美術品として高く評価され、室町幕府足利将軍家の収集品である「東山御物」となりました。その後、名のある茶人などの手を経て、豊臣秀吉が所有することとなります。茶器のなかでも特に優れた「大名物」として珍重されました。
底部には、室町時代の文化人として名高い相阿弥らの花押が、据えられています。戦国時代から江戸時代初期の記録によると、底部には朱の漆で「玉蟲」とも記されていたようですが、現在はその痕跡は残っていません。
長府毛利家の至宝中の至宝として、大切に伝えられた名品です。
通期で展示しておりますので、ぜひご覧ください!