皆様こんにちは!
東行記念館です。
常設企画展「アートでみる幕末維新―奇兵隊の駆けた時代」のイチオシ資料をご紹介します!
今回ご紹介するのは前期(~11月14日(日))のみ展示中の資料「黒船来襲図」です。
本資料は、元治元年(1864)8月に起こった下関戦争を弘安4年(1281)の蒙古襲来に模して描いた錦絵です。
甲冑の武士たちの活躍や、沿岸部からの砲撃で蒙古軍が撃退される様子が描かれ、長州勢が勝利した内容になっています。しかし、実際には、イギリス、フランス、オランダ、アメリカから成る連合艦隊の圧倒的な軍事力を前に長州勢は敗北しており、事実とは異なる状況が報知されています。
なぜ、このような報道がなされたのでしょうか。
江戸時代、庶民が戦いについて情報収集することや、それを報じるという行為は、基本的にはタブーとされていました。
戦いを報じる瓦版や錦絵は、このような幕府の統制下で発行されたものであるため、別の出来事に模して描くなど工夫を凝らす必要があったのです。また、限られた情報を基に作成されたため、事実とは異なる点も多かったようです。
なお、この戦いで奇兵隊は、壇ノ浦・前田両台場(砲台)を任され、最前線で奮戦しましたが、上陸した連合軍の銃撃を受け撤兵を余儀なくされています。
この敗北を機に、奇兵隊は軍制改革に本格的に着手。奇兵隊の軍隊としてのあり方を変える転機となりました。
本展示は会期中に資料の入れ替えを予定しております。
前期は11月14日(日)までですのでお見逃しなく!