開催中の企画展「下関名所選」より、注目資料をご紹介します。
今回は「硯海勝地」です。
「硯海勝地」は、下関出身の南画家富田壷僊が、明治時代初期に描いた関門海峡の景勝26枚をまとめたものです。表題の「硯海」とは、硯(すずり)の海とも称された関門海峡を指します。
明治時代以降、沿岸の埋め立てや近代化などにより、江戸時代までの景観の多くは失われますが、本資料では近代化以前の景色を見ることができ、貴重です。いくつかの図を見てみましょう。
こちらは、南部町海岸を題材とした図で、亀山より海側を眺める視点で描かれています。明治27年(1894)から行われる唐戸湾の埋め立て以前の風景を見ることができます。
こちらは、壇ノ浦を描いた作品。松の木が茂る、閑静な様子は、近代の景勝絵はがきにもよく紹介された風景です。
伊崎と彦島の間の小門海峡を描いたものです。近代まで同地で人気を博した行事で、夜間にかがり火を焚いて漁を行った、小門の夜焚きの情景を見ることができます。
本資料は、令和7年度に当館に寄託された新規収蔵資料でもあります。
ぜひこの機会に展示室でご覧ください。