企画展「菊舎 ふるさと編」出品資料紹介です。
こちらは、菊舎の描いた菊と巌図に、長府藩11代藩主毛利元義が句を添えた作品です。実は、元義が添えている「かおり 流す八重はた雲や 菊の今日」の句は、菊舎が石清水八幡宮を参拝して詠んだものです。描かれている巌は、石清水八幡宮の「いわ」に通じており、句を詠んだ場所を暗示していると考えられます。
毛利元義は、文芸に秀でた藩主として知られています。俳諧や茶の湯などの他、江戸時代中期頃から流行した狂歌にも親しむなど幅広い文芸を嗜みました。菊舎の32歳年下であり、性別や立場も異なりますが、このような合作を制作するなど、文芸を通じて菊舎と親しく交流しました。
なお、裏側には、菊舎が、貴重なものであるといって知人へこの作品を贈ったということが記されています。菊舎にとっても特別な作品となった藩主との合作をぜひご覧ください。