特別展「巌流島」出品資料紹介。
こちらは、宮本武蔵直筆の「戦気」一行書(松井文庫蔵/八代市立博物館寄託)。大書された「戦気」とは、戦いに臨む心構えや意気込みなどを意味したものとされています。
また、その下に続く「寒流帯月澄如鏡(寒流月帯びて澄めること鏡の如し)」は、中国の詩人の作品の一部を引用したもの。元の詩は、送別の宴が終わるのを惜しむ気持ちを詠んだ内容です。鏡は平常心や不動の心の象徴ともされ、武蔵の筆致も相まってとても見ごたえのある作品です。
なお、この作品は、熊本藩主細川家の筆頭家老松井家に伝来したものです。江戸時代初期の松井興長・寄之は武蔵との親交が深く、その関係から松井家には武蔵ゆかりの作品が複数伝えられています。