常設企画展「高杉晋作と山縣有朋」資料紹介。
こちらは高杉晋作の詩歌集「東行遺稿」(直筆ではなく、写本)です。展示部分には、慶応元年4月に詠まれた詩が収められています。
当時、晋作は長州の富国強兵のため下関開港を画策していました。しかし、反対派から命を狙われたため、やむを得ず脱藩することとなります。このとき山縣有朋に送った書状のなかに記されたのがこの詩でした。
晋作は自らの人生を「流水奔波」(激しく打ち寄せる波)になぞらえるとともに、「五難七禍未逢得」(いまだ困難や苦難はない)と詠んでいます。捲土重来を期す晋作の意気込みがうかがえます。
また、この書状には「御他見御無用(他人に見せないように)」と記されています。奇兵隊で存在感を増していた有朋は、晋作にとっても自身の心境を語ることができるほど信頼のおける人物でした。