下関の歴史遺産のネットワーク化をはじめ、市民とともに創り育てる博物館を目指します。

休館により見ていただくことができなくなっている企画展「戦争・疫病・災害～困難に立ち向かった下関の人々～」より、展示資料を写真にて紹介します。
 

 















こちらは、明治13年（1880）に内務省が発行した冊子です。コレラ予防のため民衆がとるべき行動について、平易な言葉で解説しています。
 
本冊子が刊行される前年の明治12年、全国で患者数16万人、死者数10万人を超えるコレラの大流行が起こりました。当時、民衆にコレラに関する知識や予防法が十分に普及していなかったため、感染対策が進まず、時には対策にあたる警官と民衆が対立するなどの問題も発生しました。
 
本冊子はこのような状況を受け、民衆への予防法普及を目的につくられたものです。
コレラなどの伝染病の主な感染原因を、「空気」「飲水」「飲食物」「他人との交通」とし、それぞれについて解説しています。


 















本文を見ると、漢字には仮名がふられるなど、多くの人に読みやすいようになっています。
また、「政府が予防法を示しても各自が守らなければ効果がありません。耕作に力を入れずに神仏に豊穣を祈るのと同じことです」というようなことが書かれており、農業など民衆に身近なたとえを用いて解説しています。疫病やその予防法を多くの人に理解してもらうため、様々な工夫がなされた様子がうかがえます。