開催中の企画展「秋田寅之介と近代の関門海峡」より、おすすめの資料を紹介していきます。
今回ご紹介するのは、「万国髭倶楽部アルバム」です。
万国髭倶楽部は、富士屋ホテル(箱根)の3代目社長山口正造が昭和6年(1931)に設立したクラブです。ホテルの海外向け宣伝を兼ねて、政治や外交にかかわらない国際交流を目指したもので、10ヶ国43名が登録しました。
昭和9年(1934)、この万国髭倶楽部から、秋田寅之介に入会の勧誘がありました。寅之介は、早速入会申込書と最近の写真を添えてホテルへ送付し、入会します。今回展示している「万国髭倶楽部アルバム」は、会員を紹介したもので、秋田寅之介の写真も掲載されています。
秋田寅之介の肖像を見た時、ひと際目を引くのが長く伸びた立派なひげです。
実は寅之介は元々ひげを伸ばしていたわけではなく、ひげ剃りのたびに血が噴き出してしまい、面倒なので剃ることをやめたと言います。晩年にはひげが着物の帯の辺りまで伸び、寅之介のトレードマークとなりました。このほか、寅之介が大正6年(1917)に衆議院議員となり、初めて当院した際、「議場第一の美髯」と注目されたというエピソードもあり、寅之介のひげが多くの人々の関心を集めた様子が窺えます。
(万国髭倶楽部アルバム/下関市観光スポーツ文化部観光施設課蔵)